12月の報告
小意気なヤツだよハヤブサ2号。遠出の前にチョと顔見せて…と之科学少年としてはお見送りと思ったけれど目下眼の治療中で無理と追っかけは断念しました。TVでしっかり見られたのでまァ「お気張り!」と拍手した次第。
平々凡々と過ごしている内に12月。時間は加速度を増して過ぎて行くことを実感しています。
年の終わりに2つのニュース。ひとつは12月1日カワイ出版から「さらり・しきたり」の第4刷が出ました。わずかだけれど需要があるから出版社も刷ってくださるので感謝の気持ちでいっぱいです。
ピアノで出せる「日本の音」をと吹聴していますが「日本の音」の定義は難しくピアノを弾く人の感じる「日本の音」とはどんなものなのか掴めないまゝ、自分なりの「日本の音」を見つけたいものと思案、格闘の日々です。著名な諸先輩が挑んだ深遠なる世界ですから「蟷螂の斧」を承知で踏みわけて行こうと思っています。邦楽器の世界はアンタッチャブル領域なので手探りもいいところですが。
12月12日、富岡市在住の声楽家が家族ぐるみのコンサートを荻窪で開かれ、拙作白川淑詩「しだれざくら」を歌われます。関東育ちの方が「京ことば」を歌われるのは大変なエネルギーが要ると思うのだけれどもう何曲か拙作に向われています。異性が捉えた「おんなの情念」をどう表現されるのでしょうか。
今年もささやか乍ら拙作が各地で演奏され、そのうち何曲か聴く機会がありましたが、それぞれ自分流に料理され、記譜上でのさまざまな示唆を受けありがたいことでした。いつも自作を聴く度に学ばなければならないことが多く見つかります。昔の作曲家はどこまで自分の音を楽譜にできたのか?考えてみると彼等の心情が理解できるような気になるから不思議です。
いろいろ自作を聴いたなかでびっくりしたのはYoutubeで流れた全然知らない人の「たらちね」でした。ホーウッここまでやるかと感心しつつ、記譜上の問題に直面します。同業諸氏の作品を聴いてもこのことが頭をよりぎります。
アレやコレやで2015年も去って行きます。来年もあれこれニュースをお届けできればよいのですが。
何はともあれ、健康で次の年に向いたいと思っています。
いろいろありがとうございました。
お問い合わせはパンフレットに記載の連絡先までお願いいたします。
2015年12月5日
11月の報告
“稔りの秋”を充実しないまでも実感する10月でした。
1989年から間断無く続けてきた作品コンサート、27回めの今年をもって店仕舞となりました。グループ"あらしの"は向学心いっぱいのメンバーによって支えられてきました。グループの皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。それに守山・スティマーザールに足を運んで下さった方々にもお礼を申し述べます。作曲→演奏→聴取の図式を持続できたことに感動です。
今まで多くの方に聴いていただきました。多くの感想、助言は創作の糧となっています。ささやかな交流関係でしたが、それだけに密度は濃く、私の成長に刺激となりました。それになによりも家族の理解・支援あってのことと感謝しています。
皆さんありがとうございました!
これからはまた違った視点で勉強の場を確立したいと思っています。コンサートの様子などはいずれYoutubeにアップしますのでご覧下されば嬉しく思います。
翌日の10月25日からはコンサートにきてくれた義兄のパイロットで奥飛騨に向かいました。整備された道路は一気に高地に運んでくれました。その昔、長野経由で能登半島に向ったときの感触と大違い!こんなことで世の移り変わりを感じるとは…。
呆れるぐらい多くのトンネルを通過すると周りの山の表情が一変します。
赤・黄・緑の鮮やかなグラデーション。久しく見なかった景観にただただびっくり。「秋の夕日に照る山紅葉」の小学校唱歌を実感をもってハミングです。
ある先人作曲家のつぶやき「日記を書くように歌を書きたい」何気ないこの言葉の実践は中々難しいことですが、ささやかに追体験したい気分になっている11月の始まりです。
2015年11月1日
10月のお知らせ
10月、連続する異常な天候にオロオロしているうちにも季節巡りの元帳はしっかりしていました。
馴染んでいる秋の風情に浸っています。9月30日、第48回詩と音楽の会「新しい日本の歌」コンサートを新装なった東京文化会館小ホールでありました。何がどうなったかはとくと判断できませんが、通学の通り路にあって何年経ってもホームグラウンドの気分です。この会も48回ともなると静かな世代交代があり、さまざまなスタイルの歌曲が8名の演奏者により19曲が披露されました。若い人の作品が古くさく感じたり、年配者の作品がお化けだったりしてまさに「うたのコンビニ」です。声楽、ピアノ共に作品に向き合う誠実さは好感のもてるものでした。拙作は中村泰三作詩の「しらさぎたまご」
頼まれ仕事以外ではホント久し振りに「童謡」もどきに仕上げました。
絵本を持ちながら、或いは動画を背景にして「お話し」聴かせるスタイルを想定し、歌唱者には「お話しおねえさん」の積りでと注文したのですが叶いませんでした。声量のあるヴォカリストだから「日本語」を素直に語れる技術が加われば個性あるヴォカリストに成長すると思っています。
ピアニストは少々ミスがあっても音の流れに竿さすものではなく、楽譜の読み込みも正確で歌唱の不出来をフォローし、拙作の意図するものを実音にしてくれました。感謝!
この会では第15回からかなり真面目に参加してきましたがそろそろ老兵は去る頃かと思っています。いずれはこの会で演奏した作品をまとめたコンサートができればと考えていますが…。
今月は恒例の作品コンサートの27回目を24日(土)に滋賀・守山のスティマーザールでやります。こちらの方もそろそろ店仕舞の流れです。
マンネリは承知の上で続けてきましたが限度があるだろう!という気分です。1989年の第1回コンサート以来、折にふれて娘たち(彩香・香織)が参加してくれ、家族ぐるみのコンサートは今回で打止めという訳です。今回は二人共「これも親孝行」と練習に勤しんでくれています。今回の作品はピアノ6手連弾でいずれそれぞれの家族で演奏してくれることを願って書き上げました。私もTerzoで演奏に参加します。娘二人に叱咤激励を受けつつ合わせを楽しみ、その後3組の家族で食事を楽しんでいます。
三家族たちの好意を素直にありがたく思っています。当日のプログラム、次にアップしておきます。関心のある方はどうぞお出かけください。
PROGRAM
- 福田香織・嵐野彩香・嵐野英彦 6手による「ソナチネッタ」I ~ III
- 田中裕子・稲田万里子 望月幸義 詩 「秋の散歩」
- 寺沢みどり ピアノによる「5つの詩的断章 II」
- 嶺尾圭子・稲田万里子 中郡節二 詩 「揚羽蝶」
- 嵐野彩香・福田香織・嵐野英彦 6手による「コンチェルティーノ」 I ~ V
- 佐野晴美・稲田万里子 白川淑 詩 京の雪月花より「月の暈」
- 岡本洋子 ピアノによる「季詞」I・IIより
- 山北留美・辻若菜 桑門つた子 詩 「夕景」
- 稲田万里子・辻若菜 4手による「NYOHZE-GAHMON」VII
- 出演者による女声合唱 やなせ・たかし 詩 「今日よサヨーナラ」
田口栄一 詩 「冬のソナチネ」I ~ III
三好庸太 詩 「春よどこ」
まなざし - くたかけ - まどろむ - ともしび - たわける
成川玲子 詩 「三面鏡」
前田詩津子 詩 「電話」
平井多美子 詩 「夜あけに」
元平規子 詩 「コツコツ」
吉田享子 詩 「ぶさいく」
田中伸子 詩 「あべこべ話」
佐々木貴子 詩 「またたび」
小林比呂古 詩 「髪の思い出」
場所:滋賀・守山 STIMMER SAAL
9月の報告を二つ。「食える音楽」の師、三木鳥郎先生若き日の作品のCDが出版されました。師であった諸井三郎直伝の後期ロマン派風半音階和声によるクラリネット五重奏曲です。1943年着手、長い中断の後、1992年完成。先生はコンピューターで音にされていたようですが生音で演奏されるのは初めてとのこと。CD制作に携わった人々の努力に脱帽です。もうひとつは2009年出版のピアノ曲「さらり・しきたり I・II」の第3刷が11月に出ます。ありがたいことです。芥川賞受賞作品の爆発的増刷には蟷螂の斧ですが、これが地下水脈の流れのように、ゆっくりと時間をかけ世に浸透して行ってくれればとささやかに願っています。
久し振りに仕事場へ差し込む陽の光に目を細めながら10月のコメントを認めました。
2015年10月4日
9月のお知らせ
9月30日(水)東京文化会館小ホールで「詩と音楽の会」第48回演奏会があります。1982年の第15回から参加しています。さまざまなスタイルの詩に作曲してきましたが今年は今までにないタッチの世界です。小濱妙美さんのソプラノ、ピアノは三國彰子さんでどんな演奏になるか楽しみです。詩のタイトルは「しらさぎたまご」です。
お問い合わせはパンフレットに記載の連絡先までお願いいたします。
2015年9月1日
8月の報告
仕事部屋でツクツクボーシの声が聞こえる季節になりました。仕事部屋の脇には大ぶりの樹木が並んでいていろいろな鳥の声、そして何種類かの蝉の声により8月の中での時間の移ろいを感じます。ツクツクボーシの声を聞くと遠い少年の日々をこの季節、いつも思い出します。長い夏休みの終盤、大文字焼き(五山の送り火)が過ぎて地蔵盆、その頃に合わせたようにツクツクボーシが活動するのです。つまりツクツクボーシに「夏休みの宿題やったん?」と言われているようで夏休みの終わりを実感するのです。
もうかなり以前のこと、頼まれ仕事(CMソングやTVアニメの劇伴)をやってたとき、締切厳守をツクツクボーシで少年の日の事を思い出しつつ冷汗かきながら仕事やってました。
8月1日、昨年も同じことがあったのですが同日同時刻、場所を変えて拙作が演奏されました。栃木県小山市での「たらちね」と京都市内で何曲かの「京ことば」歌曲。
どちらを聴くべきか?悩みましたが上野より北で「たらちね」が演奏されるのは初めてなので小山に行ってきました。小山市在住のソプラノ山中智津子さんのリサイタルです。「たらちね」の達人のお二人、テノールの古澤泉さん、ピアノの小島好弘さんの支えがあって、無難にこなしていました。少々の硬さがあったけれど、これが難解な言葉を連発する花嫁さんらしく、妙に自分流にこなれた歌唱、動きに較べ、亭主となる「㐂いやん(きいやん)」との対照感がよく感じられ、安心して鑑賞できました…って自作を他人言のように言えることがとても嬉しく思えたことでした。作品が一人歩きしていて久し振りに会った「我が子」という感じです。……で京都の方はベテランの奥田あつ子さんですからあでやかに「京ことば」を歌われてたことを想像しています。
関西ことばの作品、とくに男声のものは拙作のほとんどの初演をやってのけた中納俊夫さん以外関心を持つ人が無く、古澤さんが現役を退かれたら、後はどうなる?って心配です。古澤さんによって「たらちね」は息をふき返しましたが、それまでは「作品が演者を選ぶのさ」ってうそぶいていましたが……。
異常な暑さだった今夏、ツクツクボーシを聞きながら「よく凌いだナ」と思う晩夏です。
9月、芸術の秋だ!なんて大上段に振りかぶることなく、ささやかに次の作品に挑みます。ではまた来月。
2015年8月31日
7月の報告
年相応に身体のメンテをやってますが7月に入って白内障の治療をやってきました。処置の後、即帰宅できるのが今や一般的だそうだけれど、私の場合、知らない間に起きていた眼底出血の掃除も兼ねてということで3日間病院に留め置かれました。
短い期間とはいえ、30数年ぶりの入院生活となりました。本を読むことは差し控えて、もっぱら耳を稼動させました。その昔、通勤時のために用意したテープ、何があったかと探したら出てくるのは落語LPのコピーがいっぱい。かなり熱中して追っかけをやった桂枝雀師の高座ぶりを、いろんな記憶と共に聴いていました。落語ブッファ創作の原点はテープ聴きまくり成果だったなァと思ったことでした。改めて何か結構な作品の見事な演奏録音を聴く気にならなかったのも最早フシギでは無くなりました。
白内障治療の成果は未だ実感できませんが、以前と変わらず楽譜が読め書けているようなので何より嬉しく思っています。先日は雑談もどきでお知らせすることが多く触れられませんでしたがオカシナ月でした。つまり同窓会やそれモドキの会がワァーッと8件もあってこれまたびっくりでした。昨年も3件か4件あったようですが、因みに今年は、
- 京都市立岡崎中学校同期会
- 京都府立鴨沂高等学校 入学時クラスの「一・二会」
- 鴨沂同期卒業「水無月会」
- 「水無月会」の東京支部
- 鴨沂同窓会
- 鴨沂同窓会関東支部
- 滋賀大学教員OB・OG会
- 東京芸大同期会
京都で実施されるもの、以前滋賀大学在住中は出来るだけ出るようにしていましたが、退官後はどうにもゴブサタになって申し訳ないと思ってます。そろそろ元気なうちに出掛けなくてはと思っています。それぞれの返事は丁重にやりましたが、幹事の顔が画けないのが情けない。
8件の中では東京芸大の方は同業者仲間ということで出掛けました。作曲科は情けないことに佐藤眞氏とただ2人きりで入学時は20名も居たというのに。声楽、楽器の人は皆元気。演奏はいろいろな機会を持ってこなしている由、その心意気ご立派ご同輩!と喜ばしいことです。やっぱり作曲は中に籠って陰なのかなァ…。
あと、三木鶏郎生誕100年をほんの数人だけで祝いました。マス・コミ的にはときたま刺激的なキャッチ・フレーズを伴って話題になる怪人です。三木鶏郎さんとの係わり合いはまた何かの機会に書きたいと思っています。
今月もまた雑談レベルでご免こうむります。みなさん猛暑の折ご自愛を!
2015年7月27日
6月の報告
2015年6月、80才になりました。世の中、戦後70年とかまびすしいことで終戦時は小学校4年で10才。なるほどと物理的には納得していますが…。身体的にはメンテを必要とすることがアチコチ現れ、これも年を重ねることかと思いつつ気分的にどうも信じられないです。学生時代から何ごとも腹八分目でとうそぶいてきたので実年齢 8×8 で64才、定年1年前の気分なのです。こんな身勝手なマイペースで生かされていることに感謝いっぱいです。
今期に入って昨年と同じような小さなサプライズが起こりました。
昨年の小さなサプライズは同日同時刻に拙作が演奏されたことで、こんなことはもう無いよと思っていたら今年もまた同じことになりました。
かつて拙作がどこかで連続して演奏されることを経験しました。
4日連続、3週間の間でどこかで、同じ状態で5ヶ月続いたとかいろいろありましたが同日同時刻の演奏が2年続けてあるというのはほんとうびっくりで、ありがたいことです。
昨年は京都駅をはさんで南と北でしたが、今年は京都と小山です。時は8月1日(土)14:00開演。京都は京都宇治在住のソプラノ奥田あつ子さんが「京ことば」による歌曲集より5曲で祇園まつりを題材とした作品をとりあげています。小山の方は地元のメゾソプラノ山中智津子さんが落語ブッファ「たらちね」を。ピアノ小島好弘さん、テノール古澤泉さん、「たらちね」演奏のヴェテランに支えられ、また新しい個性の誕生が楽しみです。いつも感じること、旅に出した我が子に再開する気分を堪能しています。
パンフをアップしますので関心のある方はどうぞお出かけください。
お問い合わせはパンフレットに記載の連絡先までお願いいたします。
今月報告のメインは19日(金)演奏された「しばはま」です。初演と何度か再演された古澤泉さん、ピアノとクラヴィノーヴァ用アレンヂによって再演された川村敬一さん。いずれも百戦錬磨のヴェテランで、作品を材料に個性豊かに仕上げたシェフぶりでした。
今回は一世代若い中村隆太さんが拙作に挑んでくれたので関心をもって観ました。
ピアノの小島好弘さん、ステージ経験豊かなソプラノ相馬奈苗さんの協演でイキの良い魚屋がホロッとさせる流れを自然に表現しており、今後の活躍が楽しみです。プログラム前半のソロも優れた素質の片鱗を感じました。ホームグランドであろうイタリア語作品は美しいものでした。これだけならお決まりの優等生ですが、石桁真礼生作品、信時潔作品で聴かせた日本語表出に優れたセンスを感じました。
ご本人が関心をもって日本語作品の研究に励まれることに期待したいものです。そしてびっくりしたのは中村さんの集客力。サニーホールを満杯にしました。脱帽!
いくつかの合唱サークルを指導しているとのことだけれど、サークルの皆さんとうかがえる熟年男女のパワーを見せつけられました。
こういった中村さんの活動により音楽を楽しむ人達の輪が拡がって行く、派手さは無いけれど大切なことと痛感します。
「いたずらにバレイを重ね…」なんて古くさいことは脇に押しやって8掛け人生、未だ伸びるノリシロがあることを信じながら過ごして行けたらと思う日々です。
10月、滋賀・守山での作品コンサートのレッスンが始まったことも報告の一つです。
暫くの楽しみは作品が「かたち」として仕上がって行くのを実感できることです。
2015年6月26日
5月の報告
4月の報告は堺・能楽堂での拙作落語ブッファ公演に終始しました。何事も無く平坦に過ぎていく中で4月中の報告を。
4月27日午後、「ピティナ新曲募集事業」の二次審査を実施しました。
一次審査は譜面審査。122曲の応募があり、20曲が実音審査となりました。演奏は若いピティナ会員のピアニストで「採れ採れ・ピチピチ」の演奏で楽しく聴けました。
全く未知の作品の演奏は定番音楽とは別の神経が必要なのですが、「怖イモノ知ラズ」そのものの演奏は好感持てるもので、それぞれよい勉強となったことでしょう。若いピアニストへの感謝と共にこれからの成長を願っています。ここ数年応募作品の内容が低迷しているナと感じていましたが、その理由の一端が垣間見えました。マニュアル思考がこんな場面にも!ということでした。
数年前までは「箸にも棒にも…」レベルの作品から「脱帽!」と唸る作品までレンヂがとても広かったのに、この数年は「個性は乏しいけれどよく書けてるナ」レベルに集中してきたのです。口当たりと耳障りの良さに関心が集中しているのです。殆んどの作品が作曲のレッスンで「よく勉強したね。成果出てるよ」ムードで、それ以上の進展は無く「誰それもどき」の作品ばかりだったのが低迷していると感じさせた原因だったのです。創作上のテクニックはそれぞれ自分のものにしているのに、それ以上に個性が伝わってこないことに、空しさを感じたことでした。
これなら審査員の琴線に触れるであろうという、浅はかさの方が先に伝わってきて、成程マニュアル思考ここに在りと苦笑いしています。
ピティナが本当に何を目指してこの事業を続けているか、よく考える時期なのかもしれません。これは審査員の中で現場サイドのレスナー達がしっかり現状を知ってもらわなくてはと思っています。勿論作曲サイドも日々精進することです。結果として20曲の実音審査から各級を代表して8曲が選ばれ、課題曲の選定委員会に送られました。
何年か先、これらの作品が各地のコンペティション会場で弾かれることでしょう。
プライヴェートの動きは10月の作品コンサートに向け曲決めをしました。
「上意下達」…一方通行的思考ですが、時間をかけて勉強してもらっている中で、今年は「こんなことを勉強してほしい…」という設定です。
丁度医師と患者の間柄という感じで曲決めは処方箋ということでしょうか。これから10月の本番までのレッスンの中でいろいろなことを感じ、知って欲しいと思っています。「こんなことを、こういうふうに楽譜に記した」という生の言葉を何よりの材料としてレッスンが始まります。未だに万全を尽して楽譜にすることが不可能な中で、何が伝わっていくのか…。実感することが精進の糧となっているのです。
グループの皆さんに感謝する日々です。10月に向け作品として仕上がっていく態をお伝えします。
今月はもう一つ報告を。
6月19日公演の拙作落語ブッファ「しばはま」に出演する二人がレッスン室(仕事場)に来てくれました。拙作では「たらちね」以来、中納俊夫さん、古澤泉さん、川村敬一さんとベテラン諸氏がそれぞれ個性豊かに演奏していただいてました。そろそろ若い世代にも関心を持って欲しいと思っていた矢先、ピアニストの小島好弘さんイチ押しの素材ということで、バリトン中村隆太さん、ソプラノ相馬奈苗さんです。
この二人が「しばはま」に挑戦してくれるというので喜んでいます。「うた」については言うこと無しですが「しゃべり」が問題でした。これはただ経験が少ないだけで、これからいくつかステージをこなす内に「赤毛芝居」的な「しゃべり」を脱皮し、活きの良い日本語の「しゃべり」が音に乗ることだろうと期待するのです。
雨の季節の一歩手前、滋賀 ― 朝宮や土山 ― の新茶を楽しんでいます。
2015年5月28日
4月の報告
4月、世の中の新しい胎動に共振するよう鈍く動き始めました。
4月2日「詩と音楽の会」の打ち合わせ会。9月30日 第48回「新しい日本の歌」発表会のためのものです。20編の提出詩から4編を選び他人との調整の結果「しらさぎたまご―中村泰三詩」を選びました。意識的に(頼まれ仕事では無く)このジャンルは久しく手を着けてないのでチャレンジしてみようという訳です。自分を見つめ直すつもりで、しかし楽しく作曲したいと思っています。
4月19日、前日京都での墓参りを兼ねて大阪・堺に行ってきました。以前お知らせした中納俊夫さんのコンサートを拝聴するためです。
中納さんは昨年7月御自身の喜寿記念ということで拙作を3曲2枚組みのCDを出版されました。今回はその中の「じごくのそうべえ」と「ゆうれい女房」です。ステージは何と!能楽堂ということで興味津々で出向いた訳です。何年ぶりかの地下鉄御堂筋線(大阪芸大出講時以来のこと)。難波で南海本線に乗り換え堺です。
思い出せばこの難波から南海本線に来るのは昭和20年7月以来、初めてのことだから初見参の場所も同然。びっくりしました。地下道の繋がる入口の立派なこと。上下4車線のエスカレーターが待ち構えてました。都内とは別の異次元でした。
さてこの能楽堂。「堺能楽会館」が正式名称なの公共施設だと思ってましたが…。堺駅構内の案内所で場所を確認すると「あァ 能楽堂サンね」このサンの呼び方に違和感があったのが現地に行って氷解。ナント!個人の所有物なんです。親子2代、道楽の結晶とか。とにかく7階建てのマンションの3階分をブチ抜いて造りあげたとのこと。ご覧のような能舞台があって唖然!!
(堺能楽堂会館パンフレットより)
堺の隠れたもの凄いものを感じました。マンションのオーナー即ち能楽堂のオーナーからいろいろお話を伺うことができ、又新しいことを知りました。一応の知識はありましたがオーナーのお奨めにより本舞台に上がっての初体験。檜の一枚板が敷きつめられてますが跳ぶと板が弾むのです。「摺り足」を実感しました。外国製の踊りでは稀な動きを実感し、何よりの堺行きの収穫でした。
さて中納さんの演奏、長い時間を経て拝聴したのですが、さすが怪物、立派でした。残念なことに能舞台にピアノは置けませんので(これも本舞台に上がり実感)ピアノもどきの電子楽器でしたがこれまたツボを外さない奥サマの演奏も見事でした。
中納さんは年令相応の歌唱ぶりで若さにまかせて唸っていたのがスルリと抜ける部分があって唸ってきた年輪を感じさせました。抜けた分だけ発語が弱くなってましたが、いずれ修正されて行くことでしょう。
惜しまれるのは「ゆうれい女房」の衣裳で「オアシが無い」のに足が丸出しでした。中納さんのこれからますます音楽活動されることを願いつつ堺能楽堂を後にしました。
4月27日、PTNA新曲課題曲募集の第2次審査会です。今年から応募料が必要になりましたが122曲応募があり、2月3日の一次審査(譜面審査)で20曲を選び二次、つまり実音審査をやります。A、B級に新曲課題曲ににふさわしい作品が少なく見受けられました。これらの中からPTNAコンペティション邦人作品のカテゴリーに選出されることでしょう。
気候も安定してきたことだし、私の仕事も低レベルでも持続しなければと思っています。
2015年4月24日
3月のお知らせ
またまた大阪の中納俊夫さんからのビックリニュース。4月になんと大阪の堺の能楽堂で拙作落語ものを二席演じるとのことです。昨年7月、「喜寿でCDデビューですねン」とビックリさせられたことでしたが、今度は能楽堂で歌い、語る、年輪と共に磨かれたその芸を楽しみたいと思います。
関西在住の方、どうぞお出かけになって気張っている中納さんを応援してあげてください。詳細は下記パンフをご覧ください。お知らせまで。
2015年3月8日
(画像をクリックすると大きな画像を開きます)お問い合わせはパンフレットに記載のメールまでお願いいたします。
近況報告
世の中が暇になるという「ニッパチ」こそ働くぞ!っとうそぶいていたのは数年前のこと。今年の2月は淡々と平穏な日々が過ぎ行きます。ご同輩よ、皆さんこんな様子でしょうか。滋賀・守山でのレクチュアはシリーズXIVで今期のテーマは「ロマン派ピアノ小品について」です。2月19日(木)はその第4回でS・ヘラー、C・グルリット、T・キルヒナー、H・ホフマンの作品。一世代前の様式の、何がどう異なるのか、何を感じ、どう表現するのか、受講者は好奇心満開で楽譜を検討していました。受講者それぞれの音楽体験をベースとして感じ取り、レッスンに応用してくれればこのレクチュアも意義のあるものと思っています。
平凡な時の流れの中にも、時にはビックリするニュースが入ってきます。かつて世に送り出した拙作が一人歩きを始め、人さまのお世話になりながらおしゃべりしているようです。
2月28日は京都在住のジャズ・ピアニストが「京ことば」歌曲を素材にライヴのプログラムに加えるとか。鴨川の賀茂街道沿いにあるライブハウスのプレイだそうですが、どの曲がどのようにジャズヴァージョンになるか詳細までわかっていませんが、作品には「気散じにおやり…」と言ってやりたい気分です。聴いてくれた人の感想をお伝えできれば…と思っているのですが。
6月19日、日暮里サニーホールで「しばはま」がピアニスト小島好弘氏のプロデュースで上演されます。全く新しいキャストで広い人脈を持つ小島氏のメガネに叶った人材だと思います。「しばはま」は「たらちね」を可愛がって下さる小島氏に「そろそろ江戸前の作品を!」とそそのかされて書き上げたもので、そこそこの評価をいただき、何度かの再演を聴くことができました。自分の作品を聴いているといつも妙な浮遊感を伴った気分になるのが常ですが、「落語」モノでは「そう、そう、いいぞ、もっとヤレ!」なんて高揚感も混じってきて、ステージの演者を応援している自分を感じているので不思議なものです。
拙曲の音楽語を知りつくした小島氏の指導により、今までと違った「しばはま」に対面できるのがとても楽しみです。これからぐんぐん伸びて行く声楽家を皆で応援したいですね。是非、サニーホールへお出かけいただき声援を共に大いに笑っていただきたいと思っています。お問合せ先は下記の通りです。
また8月1日、栃木の小山市で小島氏の手のものの「たらちね」が上演されるというニュースも伝わりました。詳細はまたお伝えできると思います。
平坦な日々が続く中で、旅に出したわが子の消息を知ることはやはりビックリニュースとなり嬉しくなってくる今日この頃です。
2015年2月22日
(画像をクリックすると大きな画像を開きます)お問い合わせはパンフレットに記載のメールまでお願いいたします。
(ブログ) 中村隆太は何でもバリトン屋新年のご挨拶
2015年、皆さんお元気ですか。今年もよろしくおつき合い下さるように。
昨年のようなサプライズは無く平穏そのもので、怖いことばかりの中でありがたいことです。
今年もこの数年変わらずのスケジュールで、何曲かの作品が演奏される予定です。
1.「京ことば」による歌曲集より『祇園ばやし』
2.合唱ミュージカル『天女が飛んだ』
3.詩と音楽の会のための新作
また、子どものための連弾組曲の一部が出版されるとのことです。
滋賀守山でのレクチュアではロマン派ピアノ小品のアナリーゼで、ピアノ・レッスンに寄与できるよう、Stephen Heller、Theodor Kirchner、Robert Fuchs、Reinhold Glier 等の作品をとりあげます。さまざまな視点から楽譜を読む内容で今回はシリーズのNo.14です。受講の皆さんの向学心に支えられて続けています。曰く「教えることは教わること」を実感しています。
今ひとつお知らせ。
文化放送のサイトで「三木鶏郎の世界」-三木鶏郎生誕100年企画-(http://www.joqr.co.jp/toriro/)です。三木鶏郎=トリロー先生は私の三人目の師で「喰える音楽」を教わりました。1945年以降、日本での音楽シーンはチミモウリョウ状態でその中にあって人々の記憶に残る名曲「リリカル・ソングス」「CMソングス」を遺されています。私たちへの貴重な遺産だと思っています。
是非ご覧になって現在の妙な日本語の「うた」とは別世界の「音づくり」に触れてみてほしいと願っています。3月末日までアップされています。
いつか私の「3M信仰」のことを書きましたが(『私と楽譜 22 音楽生活支える「3M信仰」』月刊「ミュージシャン」(musician)2001年9月号に寄稿)トリロー先生のイニシャルも「M」。不思議な繋がりを感じています。それでは今月はこの辺で。
2015年1月13日